2019年1月、エネルギーテックのエナーバンクが、法人向けに電力のリバースオークション・エネオクのサービスを開始。開始1ヶ月足らずで取扱額は3億円を突破。電力自由化後、自社に最適な電力プランを見つけるサービスの登場が待たれていた。私、村中が何を考えているかを記述する。

エネオク ウェブサイト https://auctions.enerbank.co.jp 

エネオクとは
全国の小売電気事業者から最安の電力プランを見つけられる、法人向けのオークション型仲介サービス。オフィスビルなどの施設情報と直近12ヶ月の電力使用明細をアップロードすれば、2週間ほどで、複数の小売電気事業者の入札によって決定した電力プランの最安値が分かる。チャット機能付きで、法人と小売電気事業者の直接交渉も可能。電力プラン切り替え義務はないので、安心して使うことができる。

エナーバンクとは
2018年7月10日創業のエネルギーテックのベンチャー企業。当社初となるエネルギープロダクト・エネオクを2019年1月に本格始動。自由化を果たした電力業界に新たな一石を投じるサービスとして注目を集める。

エネオクは5ヶ月でβリリース、8ヶ月で本格稼働

2019年1月、エナーバンク初となるエネルギープロダクト・エネオクを本格始動させました。自由化前の電力事業の流れを引きずり、価格競争なんかしたくないという人が残る中、価格競争を促進するサービスが果して受け入れられるか、正直不安に思っていました。

ところが予想に反して、電力自由化に伴う変化の流れをどう読み解いたらいいか興味を持っている人が多く、広く受け入れられています。概ねポジティブな感触を得られたので、今は積極的に情報発信し、攻めの営業を行っています。

エネオクの制作は、スピード感を持って進めました。2018年のゴールデンウィークに仕様が決まり、7月に制作に着手、3ヶ月後の10月にはβ版をリリースし、2019年の1月に本格始動です。

この間、関わったメンバーは、エナーバンクの創業メンバーである僕と佐藤丞吾のほか、内製と外注のエンジニアが1人ずつの4人だけ。開発費用は数百万円です。

効率的に事業を立ち上げられたのは、佐藤が前職で「エネがえる」というエネルギープロダクトを立ち上げた経験を持っていたからで、「エネがえる」は、電力自由化に伴って爆発的に増えた電力プランから、そのお客様に最適なものを選び出すサービスが基本ですが、そこに自宅の屋根に太陽光発電パネルを設置した場合や、蓄電池を使った場合の電力プランをシミュレーションしてみせるオプションを追加し、ユーザーにとってよりよい電力プランの提案ができるようになっていて、お客様の新たなエネルギープロダクト購入の意欲を引き出すことに成功していました。

これは電力業界全体を活性化する仕組みだと思い、同様のサービスを法人向けにやろうと考えたのが「エネオク」誕生のきっかけです。ほかにもいろいろと目指すサービスがあったのですが、その実現には電力情報が必須だとわかり、その情報を集めるステップとしてまずエネオクを立ち上げることにしました。

新サービスが受け入れられた理由

エネオクが受け入れられた理由は、3つあると思っています。
1つ目は僕がエネルギーの文脈を理解しており、エネルギーの世界をどういう方向にもっていきたいかを語ることができたこと。2つ目は、佐藤が「エネがえる」を通して築いた横のネットワークをもっており、協力パートナーを得やすかったこと。3つ目が、見せ方にこだわったことです。

見せ方で言えば、ウェブサイトやチラシでは、オークションであることを前面に出し、エネルギーっぽさを抑えました。エネルギー・オークションをエネオクという4文字で分かりやすく表現し、手軽にスマホでも利用可能なサービスにしました。さらにロゴやデザイン、色合いは、世の中で良く受け入れられているサービス側に寄せ、その中で、エネルギーをどう表現していくべきなのかを自分なりに変換したものです。それが、多くの人に「面白そうだね」と言ってもらえる結果につながったと思います。

とはいえ、ビジネスが成り立っていなかったり、業界に則していなかったらそもそも受け入れられないので、サービス設計にはもっとも注力しました。ゴールデンウィークの休み中に仕様を決められたのも、それまで長年の電力業界にいた蓄積があってのことだと思います。

エネオクの使われ方をみていると、いろいろ面白いことが見えてきます。

まず、まだシェアが少なく、今から顧客を新規開拓したいという小売電気事業者にとっては、新しい顧客獲得チャネルになっています。代理店を使ったり、営業マンを派遣したりする必要はなく、ウェブを見ていれば次々に電力需要案件が入ってくるのが便利なんです。さらに、他社の入札情報が見られるので、今後の参考にもなる。

もう少し大手になると、顧客獲得にこういうチャネルを使うことに抵抗を感じる方もおられます。ですがエネオク内で起こっている競争を無視できないというのが実情だと思います。

今は、旧一電 vs 新電力といった構図の中で、地域ごとの陣取り合戦が起こっています。興味深い状況で、エネオクがどのような競争を起こせるのかを見極めようとしているところです。

エネオクは営業対象が日本全国ですので、「この県の人は電力自由化に対して感度が高い」などといった地域性が見えてくるのも面白い。こうした情報は今後のビジネス戦略につなげていきたいです。

コストとエネルギーコミュニケーション

旧一電のコスト構造は、発電コストに販管費と利益を加えたものです。営業の人間をたくさん抱え、オペレーションも丁寧であるため、販管費が高くついています。一方、新電力は、顧客獲得チャネルとしてエネオクのようなツールを活用したり、システム化を推進して料金明細をウェブで完結させるなど、販管費をぐっと削減し電力料金を下げています。

しかし、それだけでは、単なる価格競争になってしまい、電力サービスとしての広がりが見込めません。そこでエネオクではチャット機能を設け、お客様と電力会社の直接交渉を可能にしました。

複数年契約をしたらどうか、電力のコスト以外にどのようなサービスが受けられるかといった個別交渉によって、電力サービスに広がりが生まれます。

つまり、お客様側と小売電気事業者側とが、互いに価格だけでなく、マッチングにどれだけ納得できるかが重要で、「エネルギーコミュニケーション」を起こさなくてはならない。

本来、僕たちがやりたいのはこのエネルギーコミュニケーションを広げていくことです。ゆくゆくはエネルギープロダクトをもっている人たちにも、このコミュニケーション体験の向上に加わってもらいたいと思っています。

エネルギー市場 攻めの一手目がエネオク

もともと僕たちは、エネオクは事業の第一段階だと考えていました。エネオクが好意的に受け入れられたことで、今、次々に新しいビジネスのアイデアが湧いてきているところです。

エネルギー市場への攻め込み方はさまざまあり、僕たちのようなベンチャーは、ニッチなところを取りに行くという戦術をとることもある。しかし、それでは、「彼らはニッチを攻めているから」とエネルギー業界の中で先入観を持たれ、業界全体に影響を出せなくなる心配があります。再生可能エネルギー(再エネ)やブロックチェーンにも、もちろん興味はあるんですが、その時代がいつ来るのかもわからない状況で取り掛かるプロダクトは何か。

そこで、今、まさに現場で起こっていて、誰もが課題だと認める電力の価格について取り組もうと決め、エネオクというサービスをリリースし、会社を設立しました。

ここで多くのお客様を獲得し、その情報を収集して、次の展開・プロダクトにつなげていくつもりで、エネオクはその初手なんです。

次の展開として考えられるサービスは、具体的に3つに分類できると思っています。

1つ目が,僕らがエネルギープロダクトと呼ぶ、太陽光発電パネルや蓄電池、HEMSやMEMSといったシステムソリューション。2つ目は、再エネを使いたい人たちへ、供給の仕組みづくり。3つ目が、スマートメーターの普及に合わせた、需要と供給の最適化に基づく電力調達コストの削減です。

僕らテックベンチャーは、テクノロジーを使ってスピーディーに問題の検証を行い、そこで必要とされるプロダクトを制作していくことが得意です。プロダクトが世の中に浸透していくかを見定めながら社会実装していく。特に、提供サービス如何では、エネルギーにそれほど興味のない人たちを再生可能エネルギーに誘う仕組みをつくることもできると考えています。

テックベンチャーが電力業界変える

電力業界に、僕たちのようなテックベンチャーが入る意義は何だろうと、考えています。

これまでのエネルギー業界はルールも方向性も決まった産業で、大きなプレーヤーが決められた方針の下でインフラをつくり、その中でビジネスをするベンダーがいればよかったんです。しかし、自由化によってその構図は壊れつつあります。とはいえ国として動いている部分が多いため、課題は原発や再エネ、インフラなど規模の大きなものが多いです。

ここでテックの強みとなるのは、小さな問題の解決を着実に積み上げる力を持っていることです。

エネオクも、電力全体を変えることはできません。しかし、自由化に伴って小売電気事業者を選べるようになったことで、電力をもっと安くできるのではないか考えるようになった需要側の悩みを解決しました。

ひとつ問題を解決したことで、次につながるアイデアが出てきて、次の問題を解決するプロダクトをつくることができます。こうしてサービスが積みあがっていくと、それは既存市場に置き換わることになる。ここでビジネスが成り立つとわかれば、電力のことをよく知らないような新しいテックも、もっと参入してくるでしょう。

エネルギー業界にもっと新しい力

エネオクは、サービス開始からわずか1ヶ月で取扱額は3億円に達しました。一般的なベンチャーからみたら大変な額で、電力業界にビジネスのポテンシャルがあるのは明らかです。

エネルギービジネスを盛り上げるために、僕たちはエネルギーテックを広げたいと思っており、ほかのテックに対しても「興味があるならエネルギーに参入してみたら」と進めています。

そこで大事なことは、まず電力やエネルギーの文脈を理解して、一度アナロジーの中で自分のよく知っている文脈に置き換え、ビジネスを組み立て、最後エネルギー業界にカスタマイズすることです。

エネオクはセールステックを僕らがエネルギーにカスタマイズしました。このカスタマイズの部分でアイデアとスピードが重要で、この見極めが難しい。僕たちがその事例を示していきたいと思っています。だから、とりあえず何か思い付いたらプロダクトをつくり、世の中に放り込んでいこうと思っています。

インターン生を受け入れるのも、新しい人材にエネルギー業界に入ってきてほしいからです。エネルギー業界はアイデアさえあれば成功できる世界なのだと気付いてもらうことができれば、成長してくれるでしょう。そして一回自分で成功事例をつくれば、それを礎に新しい展開が訪れるので、ビジネスとして一人立ちできると思っています。ぜひ、高いポテンシャルをもったエネルギービジネスに、多くの新しい人に入ってきてほしいです。

エネルギービジネスはまだまだ伸びる。僕が考える、そのために必要なこと。

開始1ヶ月足らずで取扱額が3億円を超えた電力のリバースオークション・サービスサイト「エネオク」。大学時代からソフトバンクを経て、独立した村中健一社長のエネルギーに対する思いとはなにか。そして、自由化後のエネルギービジネスに必要だと思うこととは。

僕がエネルギーに興味を持ったきっかけ

僕は「電力」という言葉よりも、敢えて「エネルギー」という言葉を多く使うようにしています。その理由は、電力という言葉には業界、会社が付いて東電・関電のイメージが想起されるのに対して、エネルギーはガスや石油系、自動車なども含む広がりのある言葉だと感じるからです。

僕がエネルギーに興味をもつようになったのは、高校生の頃にアメリカの元副大統領のアル・ゴア氏を取り上げたドキュメンタリー映画「不都合な真実」を見たのがきっかけでした。環境活動家として知られる同氏がいろいろなデータを使いながら、CO2排出を削減しないと、地球がおかしなことになると訴えていました。

電気の使い方を見直すこと、省エネの意識をもつこと、自分でエネルギーを選択していくことが大切であり、それをほかの人と共有し、文化を形成してはじめて、エネルギー問題・環境問題は動くのだということを学びました。そこで必要になってくるのが、技術、お金、政治的な文脈で、これらすべてが組み合わさってはじめて、エネルギーがどういう方向に流れていくのかが決まる。

その後、大学でエネルギーに関することを学びたいと思って理系に進学しました。最適化工学でエネルギーシステムの最適化を学び、スマートグリッド、スマートシティがエネルギー問題を解決する一つの方法であり、未来なのではないかというところにたどり着きました。大学を卒業したら電力会社に入社し、日本が誇る最先端技術であった原子力発電に関わっていくつもりでした。

ところが、大学院への進学を目前にした2011年3月に東日本大震災が起こりました。原発の惨状を目の当たりにして、これまで「5重の壁」と言われていた原子力の安全性とはいったい何だったんだという思いに駆られました。「技術」というものを信じていいものなのかどうか分からなくなり、みんなが正しいと思っているものが正しいとは限らない、と気づかされました。

熱量があれば、世の中に対して価値を生み出すことができる

そうした思いを持ったまま大学院に進み、とにかく未来のためになにか新しいことを見つけなくては、という思いから、起業家セミナーに多く参加しました。それまでの僕は起業なんて考えたことがなかったんですが、ある学生向けビジネスコンテストに出たところ、優勝したんです。

その副賞で提供いただいた渋谷にある12畳ほどのオフィスに5~6人で寝泊まりしながら、さまざまな議論をしたり、いろいろプロダクトをつくったりしたのがとても楽しかった。その時、世の中のことをあまり分かっていない、若い僕らでも、構わずガンガン自分の思うことをやっていけば、世の中に対して価値を生み出すことはできるんだ、と気付かされました。

とはいえ、僕はやっぱりインフラ事業が好きでした。ゆくゆくはエネルギー関連の業種に携わりたかったので、自動車業界か通信業界に就職するのがいいと考えました。最終的には業界の成長スピードの速さを理由に、ソフトバンクにエンジニアとして入りました。そこでまず、よりひろい技術を学んで使えるようになり、次にサービスの立ち上げができるようになりました。その頃には将来的に起業を考えるようになり、経営側の視点を学ぶために一つのサービスを引っ張っていくような経験も積みました。

ソフトバンクの孫(正義)さんは、エネルギーに対して非常に熱い人で、SBエナジーを設立し、ロシアやモンゴルから海底ケーブルで電気をひっぱり日本の電気を安くするという「アジアスーパーグリッド構想」を打ち出すなど、スケールの大きいアイデアを持っていました。

エネルギーのことを常に考え、人一倍エネルギー愛が強く、どうすれば「エネルギーを自分のものにできるか」をずっと頭に置きながら生きてきました。さまざまな実務に携わることで、エネルギーに対する感度が培われてきたんだと思っています。

電力が電力でなくなる世界とは

今、僕が目指しているのは、電力が電力でなくなるイメージです。そのためには逆に一度、電力を強く意識しなくてはならない。インフラ化されてしまうと、安定供給された電気がそこにあることが当たり前になり、誰も意識しなくなってしまいます。

2018年9月の北海道胆振東部地震による北海道全域のブラックアウトで、電力は実は危ういインフラなんだということが顕在化しました。
インフラを立て直すためには膨大なコストがかかると及び腰になる人もいますが、僕はインフラの上にコンテンツがのれば、全体としてビジネスが回るイメージをもっています。

つまり、エネルギーにも十分ビジネスチャンスはあるので、足元の電力・エネルギーのインフラに投資をしても問題ない。

こうしたインフラの上にコンテンツが乗る、という考え方は通信に似ています。通信はもともと電話線でしたが、自由化が起こりやがて光通信になりました。そこにインターネットが乗り、コンテンツや表現の幅が広がり、さらにその上でスマホやPCといったデバイスが動いて、さまざまなサービスが誕生しています。

このようなレイヤー構造をもつ通信を紐解くと、各レイヤー内でサービスのビジネスをする人たちもいれば、回線をメンテナンスするインフラ屋さんもいます。

通信から見ると、電力はまだこうしたレイヤー構造までは至っていない。「もしもし」「はいはい」のレベルで会話しているようなものです。レイヤーを意識して、より深い構造のビジネスをつくり、より広いビジネスがなりたつ世界にもっていくかが現在の課題だと思います。

そのためには、電力でビジネスをやろうという人がもっともっといなければならない。だから僕の役目は、電力でビジネスができるんだという事例を世の中にどんどん発信していくことだとも思います。電力以外の人たちにも興味を持ってもらい協力パートナーを増やしていきたいんです。

インフラとは、世の中すべて。俯瞰した世界を知りたい

エネルギーに興味を持つ前のことを考えると、中学生の時の理科が一番好きでした。この頃までは、地学だと星や地層の概念を学び、生物では朝顔の観察、物理では電気をつけたりモーターでモノを走らせたりします。学びとしてはフワッとしているんですが、全体を学べる感覚が好きでした。

学年が上がるにつれて学問が細分化されていくと、僕が知りたいのはもっと俯瞰した世界なんだと思ようになっていきました。

今携わっているエネルギーも同じように、発電・送電といった個々の要素よりも、俯瞰してみて“世の中すべて”だなと感じられるのが好きです。それがインフラというものなんだと思います。

今は、社会全体、ビジネスにとってもインフラが何層にも張られて、面白い見方ができる時代になってきました。エネルギー業界だけでなく、さらに俯瞰してみると、エネルギーがあって、ソフトウエアの世界がインターネットという形で存在し、その上でサービスが運用され、GAFAのようなメガプラットフォーマーが出現し、データが蓄積されています。

しかし、こうした壮大な世界も、その根本にあるのはデジタルで、データセンターとネットワークが支え、電気がなくなったら、その瞬間に終わってしまいます。やはり、エネルギーは持続的な発展のために最重要なレイヤーです。

エネルギービジネスはまだまだ伸びる

エネルギーはこれほど重要なのに主張が足りないと、僕はかねがね思ってきました。通信の場合、「つながりやすさナンバーワン」などと宣伝し、それに対してお客さんはお金を払うという関係性が築かれていますよね。これまで電力は、総括原価方式で買い上げられていたこともあってそうした主張をする必要がなかったのかもしれないですが、自由化後は電力もビジネスのレイヤーに近づいているので、「いいサービスを提供するから、もっと使ってください」と主張していいはずなんです。

電力をビジネスに落とし込む時、僕は、インターネットの上にサービスがあるように、電力の上にいろいろなサービスを受けられるレイヤーをのせ、電力の価値を高めたらいいのではと考えています。例えば、電力に電気自動車がついてくるプランがあってもいい。前述のレイヤー構造というのは、例えばそういうことです。

通信でできていることが、電力ではできていないのは、電力の旧態然としたところで、自分たちのサービスはここまで、と自分たちで枠をはめているからではないでしょうか。

大きな目線でいうと、まずは電力ビジネスとしての伸びしろをもっと見つけなくてはならないと思っています。経産省などは「エネルギー市場は伸びが弱い」と言いますが、それは全体を見ているからであって、個別のセグメントに分けたらちゃんと伸びているところはあるんです。それを見定めて伸ばしていく方針を立てなくてはならない。

例えば、IT関連事業はまだまだ増えていくので、情報通信系のネットワークセンターやモバイルの基地局向けの電力需要は増えていきます。ほかにもガソリン車から電気自動車へのシフトによって電力市場は拡大します。

電力需要の増加が見込まれているところで、自分なりのポジションをどう取っていけるかが勝負を分けると思っています。

消費者側から電力を変える

このような電力・エネルギー構造の変化は、発電サイトである上流からはじまって、消費者である下流へと浸透していくという流れもあります。しかし、今や600社もある小売電気事業者を消費者側が選べる時代です。消費者側で起こせるアクションの数は、発電サイトが20年という長期的な計画の中で打てる対策の数に比べたら圧倒的に多く、スピード感が全く違います。

僕たちベンチャーとしては消費者サイドに立って高速にアクションを重ね、どんどんサービスを打ち、お客様を獲得し、そこで蓄積したデータを基に、上流の発電サイトの変化を促していくことが有利で重要だと考えています。
そして、この状況は今後、ますます加速していくと思っています。