棚瀬:今日はエナーバンクの村中社長にお越しいただきました。

村中:よろしくお願いします。

1.自己紹介と会社紹介

棚瀬:まずは自己紹介と会社のご紹介をお願いしてもいいですか?

村中:エナーバンクの代表をしています、村中と申します。

創業から2年ほど経ったエナーバンクのメインサービスとして電力のリバースオークション、エネオクというものを出していまして、法人の需要家さんと電力小売事業者の間に立ってマッチングをしています。しかも、単にあいみつを取るだけではなく、入札型でしかもどんどん下げあっていくようなリバースオークション型で行っています。

遠隔でも見積もりが取れるところが特徴です。今小売事業者もありがたいことに徐々に増えてきておりまして、大体20社を超える小売さんと取引をさせてもらっています。

最近の事例では、環境省さんが保有する施設を再生可能エネルギー100%にした際、コスト面も考え、エネオクを使って調達したところ適正な価格であいみつが取れて、契約ができました。このことを「再生可能エネルギー調達ガイド」という形で環境省さんが発信をしてくださりました。

それを機に我々の評価が一気に上がり、いろんな小売さんにお声をかけていただいたり、大手の需要家さんからも興味を持っていただけるようになりました。

棚瀬:ありがとうございます、よろしくお願いします。

2.起業するまでの経緯

宮澤:個人的に村中さんにお聞きしたいと思ってたんですけど、電力業界で起業しようと思った時に参入が難しいというか、自分一人でできることがすごい少ないなって思うんですよね、ほかの分野に比べて。

そんな中、どうして村中さんがエネオクというサービスをやろうと思ったのか。これだったらいけるって確信があったのか、難しいけど絶対にやりたいと思ったのか聞きたいと思ってました。

村中:学生の時に電力で起業するってイメージはつかなかったですね。

電力に興味はあったんですよ。東京電力に入ろうかなと思ってたくらい電力はずっと好きだったんですけど、電力で起業するってどういうことなんだろうってずっと考えていました。

前職がソフトバンクだったんですね。そこで、新電力を立ち上げるということでEMSというエネルギーマネジメントシステムのデータを活用したお客様向けのサービスを作るリーダーをさせてもらったことがあって。その時、一番お客様にとっていいアドバイスはデータから見えてくることが分かったんですけど、それをお客様に提示できるポジションがないことに気づいたというか。

やっぱり最終的には自分たちのサービスを押すことを求めれていて、本当はお客様にとって一番いいサービスがほかにあるのにそれを紹介できないジレンマがあるなって気づいて。じゃあそれをどうやって実現しようかなってなったときにエネルギー業界への転職も考えたんですけど、そういうのできるところないなぁって思って。じゃあ作るかって。

ただ、格好よく言えば起業しようなんですけど、やっぱりソフトバンク時代に実際リリースできなかったっていう半分悔しさがありました。

toC向けは一回チャレンジしたので起業するときはまだ手を付けてないtoBに対してやろうと思いました。お客様にとって最適なサービスって何だろうって色々考えていた時に、オークションというサービスは全然見えず、どんなマーケットになっているのかよく分からないけど、その分からなさを掘り起こしてあげれば、結構面白い形で表現できるんじゃないかなって考えに至りました。

宮澤:へー。じゃあ行けるって確信があったというよりも悔しさでやってやるぞっていう気持ちの方が大きかったってことですかね。ありがとうございます。

3.小売事業者にも優しいエネオク

伊藤:私も小売事業者にいたので思うんですけど、リバースオークションされるって小売事業者から反発がないのかなって。

でも今回リリースされたりとか、42億円突破っていうのはやっぱり信頼があるんだなって思うんですよ。きっと村中社長のお人柄だったり、小売のためにも何かされてると思うんですけどそのポイントって何ですか?

村中:結構コミュニケーションは大事にしてます。お互いにwin-winじゃないと絶対進まないと思っているので。

電力会社が見積もりを取る時に12か月分の電力の請求書を集めないといけないと思うんですけど、その際、請求書を集めて、データ化して、Excelに入れて、提案書作って、出す。そして、また交渉があったら再見積もりする。

その手間のために結構内部で人手かかってるんですね。だから、エネオク上に入ってくる明細に書かれている基本料金、従量料金、単価、再エネ賦課金、燃料調整額をデータ化する業務は全部僕たちがやっています。

電力会社はCSVでダウンロードできるからコピペで見積もり取れちゃうんですよね。また、管理ページを小売側に作っているので進捗管理もできるんですよ。入札中とか検討中とか交渉中とか契約完了とか。セールスフォースの電力版みたいなものをオークションに当てはめながら作っています。

伊藤:すごい、エネオクフォースですね。

4.環境系のプラン

伊藤:リバースオークションの話に関連して、環境省の小泉さんの動画私も見させていただきました。環境系のプランもできるって聞いたんですけど、お客様のご要望に合わせていくこともできるんですか?

村中:できます。需要家サイドのオークション画面にオークション条件という項目を作りました。そこで再生可能エネルギーの比率を選択できたり、CO2の排出係数を条件に入れられたり、太陽光が付いてるものを選べたり。

そういった条件を入れると小売事業者はその条件に合うような形で入札しなければならず、そこが環境省さんにはまったところだったんですよね。もとからリバースオークションで且つ条件設定ができるものを運用している実績があったので、「それだったらすぐ使えるじゃん」と。

伊藤:今電気って価格競争だけじゃないって思うんですよ。

CO2フリーとか地域性とかあると思うんですけど、そういうところすべてを見られていて、私の村中社長に対するイメージとして電力やエネルギーに特化してるのかなって思ってたんですけどちょっとイメージが変わったんですよね。

棚瀬:今日はですね、エナーバンクの村中社長にお越しいただきました。本当にありがとうございました。